トヴェリ関所にある奇跡者聖ニコライ寺院の建物が見えます。 この寺院の歴史にはとても興味深いものがあります。 19世紀中頃、有名な商人ラフマノフが所有していたトヴェリ関所の地に 古式分派信者たちの結社が創設され、 そこには木造の小さな礼拝堂と祈祷所がありました。 奇跡者聖ニコライ寺院はその木造の小さな礼拝堂のあった場所に建てられました。 建設は1914年に始まり1921年まで続きました。 1914年3月16日、旧礼拝堂で最後の祈祷式が行われイコンも運び出されました。 6月29日、モスクワ大主教が寺院建設の清めの儀式を行いました。 建設費用はモスクワ商工業を代表する人々(P.V.イワノフ、A.E.ルサコフなど)が 負担しました。 十月革命が起こる1917年には寺院の建物はほとんど完成していて鐘楼にも 鐘が据付けられていました。 しかし、仕上げの作業は遅れに遅れ、寺院の玉座の清めが行われたのは 1921年のことでした。 寺院での活動は14年間で幕を閉じ、1935年に閉鎖されました。 1940年代になると寺院には地区の防空貯蔵庫がおかれ、 これは後に修理工場として利用されました。 1989年には修理工場の撤去が、1993年にはコンサート・ホールとして 改築することが決まりましたが、幸運にもこの決定は実現しませんでした。 1993年、寺院は音楽協会ではなく古式分派教会に引き渡されました。 初めての祈祷は1995年8月2日に行われました。 写真には寺院の前に小さな店や喫茶店、遊技場などが見えます。 これらは寺院の背景の景色としてはそぐわないものかもしれません。 特に店の名前を読んだり、遊技場の絵柄に注目すれば、 宗教的な観点から見れば間違いなく罪になる店です。 しかし、これらは紛れもない今のモスクワを表しています。 アパートやお店、駐車した車、看板などが寺院を取り囲んでいます。 深き信仰と無神論、古き伝統への回帰と現代文明の享受、 モスクワのどこでも目にすることができる光景です。